【コラム】防已黄耆湯について簡単に解説

防已黄耆湯について簡単に解説

漢方薬には様々な種類がありますが、「防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)」という名前を聞いたことはありますか?

特に「水太り」や「むくみ」が気になる方におすすめされることが多い漢方薬です。

今回は、この防已黄耆湯について、その特徴や効果を分かりやすく解説します。

防已黄耆湯とは?

防已黄耆湯は、中国の古典医学書「金匱要略(きんきようりゃく)」にも記載されている、古くから使われてきた漢方薬です。その主な働きは、体内の余分な「水(すい)」を取り除き、水分代謝を整えることです。漢方では、体内の水分バランスが崩れると、むくみや冷え、だるさ、関節の痛みなど、様々な不調が現れると考えます。防已黄耆湯は、この「水」の滞り(水滞:すいたい)を改善する代表的な処方の一つです。

どんな人・症状に向いている?

防已黄耆湯は、特に以下のような体質や症状を持つ方に適しているとされています。

  • 色白で、筋肉にしまりがない、いわゆる「水太り」タイプの方
  • 疲れやすく、汗をかきやすい方
  • むくみが気になる方(特に下半身)
  • 膝などの関節が腫れて痛む方
  • 息切れしやすい方

これらの症状は、体内の水分代謝が悪く、気が不足している(気虚:ききょ)状態が関係していると考えられます。防已黄耆湯は、「防已(ぼうい)」や「黄耆(おうぎ)」、「白朮(びゃくじゅつ)※」などの生薬の働きにより、利尿作用を促して余分な水分を排出し、同時に気を補って体の機能を高めることで、これらの症状を改善します。 (※メーカーによっては「蒼朮(そうじゅつ)」の場合もあります)

服用する上でのポイント

防已黄耆湯は、比較的体力が低下している方向けの漢方薬ですが、医薬品であることに変わりはありません。服用により、まれに食欲不振や胃の不快感、吐き気、発疹、かゆみなどの副作用が現れることがあります。また、他の薬との飲み合わせにも注意が必要です。自己判断で服用するのではなく、医師や薬剤師、登録販売者に相談し、ご自身の体質や症状に合っているかを確認してから、用法・用量を守って正しく使用するようにしましょう。特に、むくみや関節痛の背景に他の病気が隠れている可能性もあるため、専門家への相談は大切です。